二級建築士 試験

令和3年度二級建築士設計製図試験の講評

- 令和3年9月17日 -

平成26年に試験の実施機関より二級建築士設計製図試験の内容についての見直しが公表されて以来、設計製図試験については、従来に比してより高い建築計画力を要する課題が目立つようになってきましたが、本年の試験課題も一層その傾向が顕著になったと考えられるものとなりました。
以下に今年度の課題における特に留意すべき点について記すこととします。




敷地の形状について
一般的に設計製図試験の課題の敷地条件としては、正方形に近いものでなく、細長い長方形で、かつ短辺方向がメインの入口となる形状のものが、難度が高くなる傾向があります。
本年の課題の敷地は、南北方向に細長い形状で、敷地に接する道路は、南側の道路のみであることから、細長い形状の 敷地の南側道路沿いの短辺方向をメインの入口とするやや難しい条件設定となっています。
これは、短辺方向の狭い部分に、歯科診療所と住宅へのアプローチを出来るだけ離して設け、かつ患者用と住宅用の駐車スペースなどを人と車の動線の分離を図りつつ設けなければならないことなどによります。
また、この課題で2階と3階に設けることとされている住宅の諸々の居室についてもできるだけ南面させる工夫を南側の短辺方向でしなければならないことも難度を増す条件となります。


敷地の傾斜について
本年度の課題条件で、最も注目される点は敷地の長辺方向(南から北)に向かって合計で50cmの傾斜があることで、過去にも一度、傾斜のある敷地についての課題が出題されたことがありますが、出題の頻度として極めて稀なケースであるといえます。
なお、建築物の計画に当たっては、「盛土・切土により敷地全体を平たんにしてはならない」と指定されていますので、南側のメインの入口部分で上り勾配を10cm程度とり、残りの40cmの半分程度の高さを建物の床レベルとし、敷地北側で20cm程度建物が地中に沈む計画として、必要最小限の盛土、切土をして、建物1階の全体の床レベルをフラットとする計画も可能となります。
但し、この課題の敷地の勾配の条件にさらに丁寧に沿った計画としてはやはり敷地の1階の床レベルを少し変えるという方法が考えられます。
この場合、無論、むやみに内部の床レベルを変えるという訳には行かず、建物の1階の南側入り口から待合室、受付・事務室、診療室等の直接診療部門と休憩室・院長室・応接室等の間接部門との境あたりに10~20cm程度の床のレベル差をとるのが、敷地の勾配により馴染んだ建築計画であるといえます。
ただし、この場合は、1階の平面計画を入念に考えた、より高度な建築計画力が必要とされます。

課題条件の室面積について
本年度の課題条件でさらに見落とせない特徴として、要求室等として挙げられている全ての室名に対して室面積が指定されておらず、各々の室面積は、各々の特記事項に即して受験者が考えて決めることとなっています。
前述した平成24年度の二級建築士の試験内容の見直しの際に、課題条件における室面積の一部は、受験者自身が考えて決めることと記されており、その後、実際の試験の課題においては主要な室以外についての室面積は特記事項によって受験者が考えるという傾向が続いてきました。
但し、要求室の全ての室について、室面積を受験者が決めるという課題条件は、今年度が初めてとなります。
要求室の全ての室の室面積を受験者が決定するということは、それだけ計画の自由度が高くなり、計画がしやすくなったとも考えられますが、一方で受験者がいかに特記事項を適確に読んで、適確な室面積を決定したかをも評価されることになり、その点では、課題条件として少し高度なものとなり、難しくなったとも考えることができます。 今後の試験課題の条件として、この傾向が続くことも考えられるため注意しておく必要があります。

部分詳細図について
要求図書の内の部分詳細図は、従前は全体の断面詳細図としての矩形図として出題されていたものに代わるものとして近年、出題されるようになったものですが、部分詳細図の切断位置を「2階のバルコニーの出入口を含む部分」として出題されたのは、本年度の課題が初めてとなります。
2階のバルコニーの出入口の部分は申すまでもなく、2階の室内からバルコニーへの出入りのための扉やバルコニーの立上り部の防水、雨仕舞等、種々のディテールとして留意すべき事項のある部分で、今後も出題の可能性の高い課題条件として留意する必要があります。

以上のように今年度の課題条件については、従来にない出題上の注目すべき事項が種々含まれており、また、それらの中のいくつかについては、今後の課題条件としても出題の可能性が高いものがあることに注意しておく必要があります。


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