二級建築士 試験

令和3年二級建築士設計製図試験課題の総評

- 令和3年6月10日 -

本年度の課題: 歯科診療所併用住宅(鉄筋コンクリート造)


要求図書については、・1階平面図兼配置図[縮尺1/100]・各階平面図[縮尺1/100]
   ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定します。
・立面図[縮尺1/100] ・断面図[縮尺1/100] ・部分詳細図(断面)[縮尺1/20] ・面積表 ・計画の要点等、
(注1)答案用紙には、1目盛が5ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられている。
(注2)建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画 等)とする。
注意事項
試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。


●本年度試験課題の傾向

本年度の二級建築士設計製図試験の課題は、予想されていた通りの3年振りのRC造で、「歯科診療所併用住宅」と発表されました。なお、平成9年に「歯科診療所併用住宅」が木造で出題されており、「歯科診療所併用住宅」の課題は24年振りとなります。
二級建築士設計製図試験は、平成24年度に試験内容の見直しが公表されて以来、例えば課題条件のうち一部の室面積については受験者自身が特記事項から考えて設定するなど、受験者自身の裁量の余地の大きい、設計者の能力としての提案力をも評価する、自由度の高い、高度な計画力を要するものとなってきておりますが、本年度の課題においてもこの傾向は一段と濃厚なものとなると考えられます。




●本年度試験課題における計画上の問題点
―建物の構成について―
先ず、「他施設との併用住宅」は、過去の二級建築士試験の課題として非常に出題頻度が高く、いわば定番ともいえるものですが、本年の課題がRC造によることにも留意しておく必要があります。
すなわち、近年のRC造の試験課題ではコミュニティ施設や記念館等の併用住宅でない課題の場合は、2階建てとして出題され、併用住宅の課題の場合はほとんどが3階建てとして出題されていることが注目されます。
無論、1階が歯科診療所で2階が住宅部分の2階建てである場合も完全に排除することはできないものの、仮に3階建てであるとすると、建物の構成として1,2階が歯科診療所で3階が住宅部分となる場合と、1階が歯科診療所で2,3階が住宅部分となる場合とが考えられますが、以上のような建物の構成上の相違は最も建築計画上の重要なポイントであることは申すまでもありません。

―1,2階が歯科診療で3階が住居部分の場合― 1,2階が歯科診療所となる場合は、当然、歯科診療所としての面積は大きく、それだけ歯科診療所としての規模も大きなものとなり、診療室、受付事務室、薬局、待合室、技工室、X線室等の種々の部屋を1階、2階に適切にゾーニングして配置しなければならないわけで、それだけ高度な計画力が必要とされることとなりますが、課題によっては1,2階を空間的に結びつける吹抜を設けることが必要とされることもあり、更に高度な計画力を要することともなります。
なお、この場合の3階に設ける住宅部分についても、建物の核ともいうべきコアー部分等についての1,2階とのつながりについて建物全体の計画上の配慮が必要とされます。

―1階が歯科診療所で2,3階が住居部分の場合― 2,3階が住居部分となる場合は、例えば二世帯住宅を2,3階のそれぞれの階に設ける場合、更に食事室をそれぞれの世帯で共通とする場合、別とする場合、2,3階を空間的に結ぶ吹抜けを設ける場合、フロアバルコニーを設けてそれぞれの世帯の共通の屋上の庭ともいうべき場とする場合等、実に様々な課題条件が考えられ、本来、二級建築士設計製図試験課題として二世帯住宅としての課題も何度も出題されていることからも、これだけでも試験課題として十分な内容のものとなるといえます。

―外構計画について― 本来、どのような課題でも接道部分から敷地へのアプローチ、建物へのアプローチをどのようにとるかが、先ず計画上の最も基本的なポイントともなる訳ですが、この課題では歯科診療部門への患者のアプローチと住宅部門へのアプローチを敷地の接道条件を考慮しながらどのようにとるかが最初の段階でのポイントとなることは申すまでもありません。
更に近年の課題では、建物内の空間と建物外の空間(例えば、玄関ホールと屋外多目的プラザ等)をどのように結びつけるかが、計画上の重要ポイントと位置づけられているものも多く、この課題でも例えば待合ホールと敷地内緑地とを視覚的に結びつけること等が求められるなど様々な計画上の条件が加えられる可能性にも留意しておく必要があります。
更に近年の計画では、敷地内に駐車場を設けると共に駐輪場を設け、敷地内の人と車と自転車の動線をどのように整理するかも外構計画のポイントとなる課題も多くみられます。

以上のように、本課題の計画上のポイントとなり得るような様々な課題条件が考えられる訳ですが、前述のように、近年、二級建築士試験では高度な計画力を要する課題となる傾向が顕著となってきていることから、正確でスピーディな製図力を身につけることは必須条件として、着実に高度なエスキース力を身につけることが本試験での合否の最も重要な鍵となると考えられます。


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